Research
Our Approach
Quantum sensing is a precise measurement of physical quantities using quantum effects such as quantum coherence and entanglement.
Among them, well-known quantum magnetic field sensors are superconducting quantum interferometers that operate at extremely low temperatures and optically pumped magnetometers that use atomic gas confined in a glass cell. We are mainly studying nitrogen-vacancy centers (NV centers) in diamond.
Furthermore, to further improve the performance of quantum sensing, we will comprehensively incorporate a wide range of informatics, from basic concepts such as statistical processing and image processing to the latest concepts such as machine learning, quantum computing, and noise theory.
量子センシングは、量子コヒーレンスや量子もつれなどの量子的な効果を用いて物理量を精緻に計測する手法です。
なかでも量子磁場センサと言えば、極低温で動作する超電導量子干渉計やガラスセルに閉じ込めた原子ガスを用いる光ポンピング磁力計などが有名ですが、本研究室では、室温で安定して動作するという特長を持つ、ダイヤモンド中の窒素・空孔中心(NVセンター)を主に研究しています。
さらに、量子センシングの性能をより一層に向上していくため、統計処理や画像処理等の基礎概念から機械学習や量子計算、ノイズ理論といった最新の概念に至るまで、幅広いインフォマティクスを複合的に取り入れていきます。
Magnetocardiography of living rats
ダイヤモンド量子センシングは、常温で高い感度を発揮できることが強みです。そのため、これまで核スピンやたんぱく質等の原子スケールから、生体磁気や鉱物磁性、電流・温度モニタリング等のマクロスケールまで、様々なシステムの計測が実証されてきました。
本研究では、センサの空間分解能を飛躍的に向上させ、ラットの心臓が作る磁場を世界で初めてミリメートル・スケールでイメージングすることに成功しました。さらに、得られた磁場画像に多数のパラメータからなる線形回帰分析を適用することで、磁場の源である電流ダイポールおよび電流分布を高精度に決定する手法を開発しています。
Multi-modal quantum sensing
ダイヤモンド量子センシングのもう一つの強みは、磁場・電場・温度・圧力・回転など様々な物理量を同時に計測できることです。同一地点で複数物理量を同時にマッピングできるようになると、次世代IoT社会においてサイバー・フィジカル空間がより一層進化し、エネルギー利用効率化等の応用に付加価値を提供する技術になる可能性が拓けます。
本研究では、ダイヤモンドを複数モジュールに分割して、複数の物理量を同時に計測できるマルチモダル量子センサを開発しています。各モジュールは、磁場勾配をかけることによって駆動周波数を少しずつずらして独立に制御します。今後は、各モジュールを有効に活用するためにも、量子計算や線形計画法等の利用を模索しています。
High-pressure high-temperature quantum sensing
ダイヤモンドは高温・高圧という極限環境下でも安定した物性を持ちます。そのため、ダイヤモンド量子センサは幅広い温度・圧力でも機能するという稀有な特長を持ちます。高温・高圧という環境は、例えば超電導や固体電池、地球科学など、様々な基礎科学の分野で研究対象とされており、そこに高性能センサを提供する価値は高いと考えられます。
本研究では、~1000℃・~60GPaの環境でも動作する高温・高圧量子センサの開発を目指しています。高温はレーザー加熱やSiCヒーターを、高圧はダイアモンド・アンビルセルを用いて実現します。これの極限環境下では、NVセンター自身の振る舞いも良くわかっておらず、基礎物理学の観点からも世界の研究者が注目しているトピックです。